セミナー

第39回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告

「弱者のQOL向上を通して学ぶこと」   

2013年6月18日(火) 大阪駅前第2ビル4階・キャンパスポート大阪
講 師:久保雅義氏(京都工芸繊維大学)
 今回の関西セミナーは、京都工芸繊維大学の久保雅義氏を講師に迎え、「弱者のQOL向上を通して学ぶこと」と題して、ご自身の経験や研究を通じて話題提供を行っていただきました。久保氏は長年パナソニックで家電デザインを担当してこられ、現在はデザイン経営工学をご専門に大学で研究・教育活動をされているとのことでした。
 話題提供は「視覚障害者の携帯情報端末の利用促進に関する研究〜バイブレーションへの情報の付加の可能性〜」と「防災意識と準備行動に関する比較調査〜神戸・京都・仙台の比較から〜」の2つの興味深いテーマから構成されていました。前者は最近主流になりつつあるスマートフォンを視覚障害のある人が使いやすくする手法に関する実験検証で、モールス信号に関する研究を背景に、バイブレーションを活用してより多くの情報や感情が提供できないかという主旨の研究でした。後者は、神戸、京都、仙台を対象にした防災意識に関する地域差に関する研究で、阪神・淡路大震災を経験した神戸でさえ、現在では防災意識が低くなっているなどの考察が発表されました。これらの研究結果から、誰でも弱者になりうるという立場に立ち、現在弱者とされている方々から学ぶことはたくさんあると話されていたのが印象的でした。
 セミナーは福祉のまちづくり関係の研究者、学生、企業の方など幅広い分野から21名の参加があり、質疑応答では多様な専門性に立脚した議論が展開され、本会の特徴が出た有意義なセミナーとなりました。
ご講演の様子
〈ご講演の様子〉
セミナーの様子
〈セミナーの様子〉

バックナンバー

第41回
「大阪都心部のサイン環境からユニバーサルデザインを考える」new
第40回
「車椅子の昨日・今日・明日
 〜パーソナル・モビリティの進化と暮らしの変化〜」
第39回
「弱者のQOL向上を通して学ぶこと」
第38回
「みんなで語ろう、車椅子の歴史から見る ひと・もの・くらし」
第37回
「災害情報とバリアフリーな移動技術に関するセミナー」
第36回
「被災者の生活再建と復興まちづくり
 〜阪神・淡路の経験を東北の被災地に生かすために〜」
第35回
「生きていく」上映会&ディスカッション
第34回
光と音とサインのユニバーサルデザインを考える
第33回
「生活維持のための地域公共交通の実現」
第32回
「障害者権利条約のトピックスについて」
第31回
淡路島の施設見学会とトーク 「癒しのユニバーサルデザインを考える」
第30回
「バリアフリー新法でまちはこう変わる」
第29回
「神戸ユニバーサルツーリズム みんな遊びにでかけよう!」
第28回
「外出したい」という思いの実現に向けて−情報案内からのアプローチ−
第27回
地域活動支援センター「ちのちのクラブ」ライブ & トーク
第26回
「心の障がいのある人も安心して住まえる環境づくり」
第25回
「福祉移送サービスの新展開」
第24回
「市民力による福祉の交通まちづくりの推進に向けて」
第23回
「『福祉のまちづくり条例』とかかわって」
第22回
「市民参加の交通バリアフリー」
第21回
「スポーツから考えるユニバーサルデザインシンポジウム」
第20回
「視覚障害を理解する」
第19回
「福祉のまちづくりに関する討論会」
第18回
「交通バリアフリー比較体験コース」
第17回
「福祉を評価すること」
第16回
「福祉のまちづくり条例改正〜大阪府・兵庫県・滋賀県の報告」
第15回
「交通バリアフリーへの人間工学からのアプローチ」
第14回
「ユーザーの立場から見た福祉のまちづくりの現状」