セミナー

第36回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告

「被災者の生活再建と復興まちづくり
   〜阪神・淡路の経験を東北の被災地に生かすために〜」

― 2011年7月11日(月) 学校法人常翔学園大阪センター 302教室―
 今回は東日本地方大震災を受けて、「被災者の生活再建と復興まちづくり〜阪神・淡路の経験を東北の被災地に生かすために〜」というタイトルで、市民まちづくり研究所の松本誠先生を講師にお招きしてセミナーを行いました。当日は、福祉のまちづくり関係の研究者、学生、企業の方など幅広い分野から23名の参加がありました。
◆講演/ 松本誠氏(市民まちづくり研究所所長)  18:40〜20:10
 「被災者の生活再建と復興まちづくり〜阪神・淡路の経験を東北の被災地に生かすために〜」というタイトルで、市民まちづくり研究所所長の松本誠氏より、阪神・淡路の経験を通じた東日本大震災の復興まちづくりについて講演して頂きました。
 東日本大震災の特徴としては、以下の@〜Dの5点を指摘され、さらに「21世紀は、世界的に食糧難になる。食糧、水を巡り争いになるかもしれない。21世紀は一次産業が中心になるのではないか。ここで、農林漁業を中心に東北をどう復興するか。地元の人や国民がこのことに気づくことが重要である。」と述べられました。
@ 巨大地震と巨大津波の破壊力
A 超広域におよぶ被災地域
特に、基幹産業である水産業の壊滅的被害である。三陸沿岸部は、世界の3大漁場。
畠山重篤さんが言っておられるように、漁場は、陸と海の組み合わせで成り立っている。ここをどう再生するかが、今後のポイントである。
B 原発災害
収束の見通しが見えない。阪神では、町は壊れたが、またそこに戻ってくることができた。でも、今回は、しばらく戻って来られない。汚染エリアからは、産業がなくなり、人々はふるさとを失う可能性がある。
C 過疎地域の全損壊滅型複合災害
阪神の被害は限定的であったが、今回は、すべて流された。人口が減少している中で、この災害が起こり、集落への影響は、今後どうなるか。
D 零細弱小自治体への直撃
多くの自治体が、人的資源を失った。地方分権が進んでいるが、やはり国や県への依存度体質は残っている。国の復興計画が出てから、県や自治体は動いているが、これは逆で、復興の基本は、自治体(住民)で国がそれを支援する体制が良い。
 また、「阪神・淡路の教訓をどう生かすか?」については、「創造的復興と言われているが、16年前も創造的復興と言われた。しかし、近代型の都市開発が進んだだけであった。東北は、多様な歴史と風土、産業的特徴もある社会であるため、トップダウン型の画一計画ではなく、地域の多様性を尊重したボトムアップ型の復興計画が重要である。」というように、地域の多様性と住民のニーズを生かした復興をしていかなければならいと強く語られました。
ご講演の様子
〈ご講演の様子〉
セミナーの様子
〈セミナーの様子〉

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