◆2部/福祉移送サービスのこれから―現場からの報告―
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〈講演の様子 3〉
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◇領家誠氏(大阪府商工労働部) |
大阪府は府内5ブロックで運営協議会を設置し、広域的に実施している。これまで取り組んできたものとしては、運営マニュアルの作成、情報提供を一元化するためのホームページの作成、座長と幹事市町村、近畿運輸局による情報交換の場として連絡会などを設置してきた。 |
運営協議会の主な議論の内容は、移動制約者の範囲、運転者の要件、運賃などであり、移動制約者の範囲として、発達障害者はすべての地区でOK、骨折等長期にわたるかが人は一部でOK、妊婦はすべての地区でダメだという状況であった。運転者の要件としても、大阪はNPOベースの研修会が盛んに実施されており、それでOKとしている。今後の論点としは、セダンをどうするのか?すみわけ論が大きな議論になる。また、遠乗りに関するニーズが満たされていないこと、共同配車に関しても広域設置をしているため困難が生じている。利用者数の把握(需要議論)をどう整理するのか、明確なアウトカム指標や利用者の満足感を調べることなどが今後の課題である。 |
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◇長尾祥司氏(NPO パーソナルサポートひらかた) |
枚方はガイドヘルパー制度でガイドヘルパーが自家用車で送迎してよいというのがあった。しかし、支援費制度によりガイドヘルプの自家用車が使用できなくなった。これが大問題になり、特区で福祉移送サービスを申請し、そこでまた大きな問題になったのがセダン車両であった。福祉車両に限定するのは問題があるという意見があり、セダン特区に申請した。そして国がヘルパーの持ち込み車両をOKにし、セダン車両の仕組みを考える小委員会で共同配車センターの取り組みを行なった。
今後の課題は介護保険、障害者自立支援法により当事者の負担が大きくなる。利用者の範囲については、まだ枚方では挙がってきていないが、どこまで広げるかという問題がある。一時的な病人や妊婦はタクシーの客と考えられるので、そこを福祉移送サービスの利用者とするのは難しいかもしれない。また、運営協議会をまたがった広域利用の問題やそのためのルール作り、利用者登録の方法などを小委員会で議論したい。そして、常にこういった議論の出来るテーブルが必要だと考えている。 |
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◇姫野操子氏(NPO 移動サービスネットワークこうべ) |
利用者の立場に立ったサービスを提供したい。“人、場所、時間が空いている団体はどこか”というところから緩やかなネットワークを作った。統一料金で窓口も一本化するのが、ネットワークを作るきっかけであった。ネットワークの事業としては、利用者から電話をもらって、“その近くなら、その障害程度ならここがありますよ”という相談事業をしている。外出支援のコーディネート、各団体への利用者の案内事業、運転研修等が主な事業である。 |
◇神野順子氏(NPO ポプリ) |
現在、ネットワークの加盟団体は7つで、基本的にタクシーに乗れる人はタクシーに乗ってもらうようにしている。最初は震災ボランティアから始まっている。身近なところから始めようということで、カーボランティア、それから介護保険へと進み、今では介護技術を持ったドライバーという専門技術にまでなっている。
見えてきた問題点としては、支援側の問題と社会・制度の問題がある。支援側の問題としては、「不足する人材」、「歴史の浅い福祉車両」、「不十分な連携」、「求められる質」、「サポート体制」などが挙げられる。福祉車両の問題としては、軽自動車だけでは使いにくい面もあり、多様な車いすに対応できない車両がる。社会・制度の問題としては、「制度の壁」、「情報不足」、「利用者にのしかかる経済的な負担」、「支援団体への理解不足」などがあり、移動制約者の移動に対する公的扶助や支援団体への公的支援が必要である。
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〈講演の様子 4〉
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会場からは、以下のような質問・意見があった。
「福祉移送サービスの中で利用者へ適正にお金を出してあげることが必要ではないか?」
○ 吉川耕司氏(大阪産業大学・教授)
利用者負担や補助の問題について、今後あるべき方向を考えていかなければならない。日本の交通事業者の場合は基本的に独立採算制であるが、福祉交通においては、まちの責任として連携をとるべきである。
○フロアより新田保次氏(大阪大学・教授)
海外ではローカルトランスポートプランを税金でやっている。日本では市民ががんばっているが、もっと公的なシステムに入れてやらなければならない。 |
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