■講演:「『福祉のまちづくり条例』とかかわって」
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〈講演の様子〉
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初めに、全国での福祉のまちづくり条例の歴史を説明された。兵庫県が全国で初めて、平成4年(1992年)10月に制定したので、兵庫県だけは県名のつかない条例名となっているが、大阪府は、兵庫県の20日ほど後に制定となったが、施行は大阪府のほうが早かったことを話された。現在は、平成15年(2003年)4月に群馬県が制定した「ひとにやさしい福祉のまちづくり条例」を最後に、すべての都道府県で類似の条例が制定されるにいたっていることを、説明された。
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兵庫県と大阪府との決定的な違いは、大阪府は建築基準法施行条例に福祉のまちづくり条例が入っているため法的根拠があることである。これによって、確認申請時に条例についても一緒に審査することができるのである。しかし兵庫県は福祉のまちづくり条例の担当課窓口に届け出ることになっており、建築関係の課がない町では、福祉関係課ですべてのチェックができるかどうか、という懸念が残っている。建築確認申請と連動した形になっていないことが問題である。 |
兵庫県は、福祉のまちづくり条例を他の県にはない100uという規模にまで、適応させるとしたが、条件が厳しいため、これによって建築基準施行条例に入れにくいという側面もあると思われる。 |
また、平成4年の制定当時、兵庫リハビリテーションセンター所長であった澤村誠志氏(日本福祉のまちづくり学会会長)が、工場を対象建築物に入れるようにと強く主張されていたと話された。労災による障害の場合、工場で事故に遭っている確率は高く、社会復帰の場として元の職場である工場への勤務を希望する人は多いのだそうだ。そのためにも工場のバリアフリーは当然だと主張され、規模基準も500uくらいに下げる努力をされていたが、結局3000u以上との基準となっている。 |
平成14年の改正において、学校の特別教室を含む棟には、EVの設置が定められたが、実は、増改築の場合は1000u以上を超えるものについては設置、と書かれている。つまり、増築した結果が全体で2000u以上になるとしても、増改築部が1000u未満であると、EVの設置義務がなくなってしまう為、問題だと感じている、とのことであった。
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