日本福祉のまちづくり学会関西支部

 
セミナー

第18回 日本福祉のまちづくり関西セミナー報告 
「交通バリアフリー比較体験コース」

 枚方市の国土交通省 近畿地方整備局 近畿技術事務所構内にある「交通バリアフリー比較体験コース」は、延長約200m、面積750uの規模で、「通行が不便な箇所の典型的なモデル」と「望ましいモデル」を構築されています。このコースにおいて、道路におけるバリアやバリアフリーを車いすやアイマスクと白杖を用いて疑似体験をしました。

コース説明を聞く様子
 コースの概要は近畿技術事務所のこちらをご覧下さい。
 
視覚障害者誘導用ブロックの敷設例


  このコースは、道路事業を進めていくうえにおいて、「道路の移動円滑化整備ガイドライン」の数値がどのようなものかを机上の理論・数値として捉えるのではなく、実際に身をもって体験することにより交通バリアフリーに対する理解を一層深め、道路空間の利便性・安全性のより一層の向上に努めていく事が重要であると考えて(近畿技術事務所資料より抜粋)つくられたものです。 
 疑似体験をした44名の参加者の多くは、白杖や車いすを使うことが初めての人で、普段何気なく通っていた段差や、視覚障害者誘導用ブロックを改めて見直す良い機会となりました。

 参加者からは、「2センチメートルと3センチメートルの違いがこれほど大きいことを知らなかった」、「アイマスクをすると視覚障害者誘導用ブロックがあっても介助者なしではとても歩けない」、「ガイドラインの数字が体感できて良かった」などの意見が寄せられました。

 コースには、歩車道境界における段差や形状の違いを比較できる部分や、勾配の異なる(5%、8%、12%)スロープ、視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法の違いなど、比較しながら考えることができるようになっています。 

車両乗り入れ部分
5%のスロープを上る
 ハード面だけではなく、音声誘導標識システムや、車いすの視点からの植え込みの高さの比較なども考えられていました。 
 体験前に近畿技術事務所長よりコース概要の説明があり、計画に関わられた三星昭宏氏(近畿大学理工学部社会環境工学部・教授)と藤村安則氏(中央復建コンサルタンツ梶E中国支社長)から追加説明がありました。体験後、参加者からの質疑にも応えていただいきました。
 本コースは、近畿技術事務所内にあり、職員の研修場所として使われているため、現在は、国の機関、地方公共団体、公団、公社、独立行政法人、公益法人などを対象にしています。しかし実際に設計や工事に関わる民間企業が体験できる機会を設けて欲しいという要望も多く聞かれました。
  詳しくは、近畿技術事務所(Tel:072-856-1941))へお問い合わせください。


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